フラッドライトとは、ナイターや舞台などで使用され、広範囲を照射する投光式の照明のことです。レンズを持たない光源と反射鏡による照明器具で、光の照射範囲が広く、柔らかで均等な照明をすることが可能です。
かつて光源の多くは白熱電球でしたが、白熱電球の製造中止に伴い、最近では消費電力の少ないLEDタイプのフラッドライトも登場しています。LED照明は、白熱電球に比べて省エネ効果に優れており、近年多くの舞台やホールなどで利用されるようになっています。フラッドライトには、ボーダーライト、フットライト、アッパーホリゾントライト、ロワーホリゾントライト、ストリップライトなどがあり、種類はさまざまです。
フラッドライトの概要については以上ですが、次にタイプ別に紹介していきます。
ボーダーライトは、舞台上部に数列にわたって吊り下げ、舞台全体を均等に照射する連続灯具です。多くのホールに設置され、舞台全体を均一に照らしています。演劇で普段使われることは少なく、仕込み作業などをするときに一度だけ点灯させ、作業灯として使用されています。学校や宴会場、公民館などの高さ6m程度の小規模ステージでの使用に適した照明です。器具間ピッチを詰めれば大規模ステージでも使用可能です。
フットライトは、夜間に暗くなる廊下や階段などの足元を照らし、歩行者の安心や安全を図るための照明器具です。階段や通路の足元に設置する壁埋込型や景観の雰囲気づくりに最適な据置型などがあります。日が落ちて暗くなると自動点灯するものや、人が近づくと点灯し、一定時間が経過すると自動消灯するタイプのものがあります。ホテルの部屋のベッドサイドで足元を照らす場合に用いられているのもフットライトです。
アッパーホリゾントライトは、舞台背景などの広い範囲を均等に照射するための照明器具です。舞台上部から吊り下げて、舞台背面にあるホリゾント幕を均一に照射することで、背景を均等な明るさにすることができます。また、舞台の床面から上向きにホリゾント幕を照射するロアーホリゾントライトがあります。アッパーホリゾントライトは舞台背景に空を表現し、ロアーホリゾントライトは地平線や水平線を演出するのが目的です。
ストリップライトは、舞台の照明器具に用いられ、鉄製の樋に電球を1列にとりつけたものです。舞台上で演技者の顔や衣装を明るくするために使用され、歌舞伎や日本舞踊になくてはならない照明器具です。